◆香具師◆


香具師とは、縁日など人の集まる所に露天を出し、
興行をしたり、物を売ったりすることを仕事としている。
江戸時代は祭礼、興行などが多く、人々が集い、
従って香具師の出番は多い。
ゆえに、その束ねをする〔元締め〕はなかなか羽振りがいい。
また、闇の世界、裏社会の顔役でもあり、暗殺なども頼まれて、
所の無頼浪人を使って暗殺も請け負う。
鬼平を忌み嫌う盗賊に鬼平暗殺を頼まれた香具師もいた。












三の松平十 さんのまつへいじゅう
●1巻「暗剣白梅香」「むかしの女」「蛇の眼」 5巻 (深川.千鳥橋)(山吹屋お勝) / 1-004「血頭の丹兵衛」/島田正吾

本郷・根津権現に住む香具師の元締め。小石川・下谷の盛り場をたばねる暗黒 街の顔である。平蔵暗殺を企てる蛇の平十郎に刺客・金子半四郎を紹介する。 こうした浪人くずれの殺し屋を何人も使っており、依頼は数知れない。





白子屋菊右衛門 しらこやきくえもん
●1巻1巻「暗剣白梅香」 3巻 「麻布ねずみ坂」「兇剣」

大阪・堺筋通り北久宝町に居を構える堺の顔役。香具師の元締め。金子半四 郎をひろい、暗殺の世界に入れた人。自分の女を500両で中村宗仙に譲ると言 って、その後浪人、石島の裏切りで女を誤って殺してしまい、宗仙に500両を返す 。という、義の通った人である。この時の平蔵の遣り方に好感を覚え、後に「兇剣」 で平蔵に味方ともいえる、行動、平蔵を兄の敵と狙う、牛滝の紋次を殺害。平蔵 に会いたいのだが、家業が家業だけにそれもかなわない。





川谷の庄吉 かわたにのしょうきち
●3巻「麻布ねずみ坂」「兇剣」

大阪・堺で縄張りを持つ白子の菊右衛門の手の者で、浪人。殺害など腕にもの いわす、仕事を付け負う。約束を違えたと思い、中村宗仙を襲うが平蔵に止められ 、平蔵がそのまま帰してくれ、命びろいする。





桑名の新兵衛 くわなのしんべえ
●3巻「麻布ねずみ坂」「兇剣」

大阪・堺で縄張りを持つ白子の菊右衛門の手下。





おだい
●3巻「兇剣」

白子の菊右衛門の妻。料理屋〔白子屋〕をまかされている。





羽沢の喜兵衛 はざわのきへえ
●1巻「むかしの女」 3巻「むかしの女」「麻布ねずみ坂」 5巻「むかしの女」「乞食坊主」

両国一帯を仕切る香具師の元締め。人からの暗殺依頼を受け、浪人に金を渡し て暗殺をしきる。鬼平犯科帳に登場するさまざまな浪人と関わる。平蔵と同門の 菅野伸介も彼の頼みで暗殺を何度か請け負っている。香具師とのつながりも広い 。





お豊 おとよ
●5巻「乞食坊主」

両国一帯を仕切る香具師の元締め・羽沢の喜兵衛の女房。





駒造 こまぞう
●1巻「むかしの女」

両国一帯を仕切る香具師の元締め・羽沢の喜兵衛の右腕といわれる男。今回 大阪の顔役・三の松の手下・井原惣市とつなぎ役。





丸太橋の与平次 まるたばしのよへじ
●1巻「暗剣白梅香」 1-006「暗剣白梅香」/中田 浩二

深川の香具師の元締め。





太兵衛 たへえ
●3巻「麻布ねずみ坂」

香具師の下組織で、情報を平蔵にそれとなく入れてくれる。両国の羽沢の喜兵衛 の縄張りで、〔覗きからくり〕の見世物をやっている。





大崎の弥平 おおさきのやへい
●5巻(兇賊)

平蔵若かりし頃、両国辺りで幅を利かせた香具師の元締。平蔵たちが叩きのめし た土壇場の勘兵衛という悪党を使っていた。





小梅の三右衛門 こうめのさんえもん
●7巻(寒月六間堀)

両国を縄張りとする香具師の元締め。平蔵がたまに使い可愛がっている『逆でこ』 こと仙次郎がついている元締。





仙次郎 せんじろう
年齢:30を越える 別称:逆でこ
●7巻「寒月六間堀」 16巻「網虫のお吉」

両国で見世物小屋をしている、香具師・小梅の三右衛門の手下。以上に額が張 り出ているのを"おでこ"というが、彼の場合、後頭部がおでこのように張り出ている ため通称は『逆でこ』。このため髷が結いにくいために頭を全部剃った坊主である。 愛想がよくお熊とも顔見知りの中。平蔵にも協力的で、幾たびが活躍している。





名幡の利兵衛 なばたのりへえ
●16巻「本門寺暮雪」

大阪諸方の香具師の元締め。井関録之助に殺人を依頼するが、途中で断られ 、裏を知った録之助に刺客を送る。録之助はその時背中を切られながら逃げ切る 。





葛籠師の紋造 つづらしのもんぞう
●16巻「本門寺暮雪」

大阪諸方で幅を利かす香具師の元締め・名幡の利兵衛の使い走り。殺しのでき る腕の立つやつを探し、若き日の井関録之助に目をつける。元締めに録之助を紹 介するが、後になり録之助が断ってきたため、その責任を負って首を釣って自害して いる。うわさでは、元締めの利兵衛が自殺に見せかけ殺害しているという。





鮫洲の市兵衛 さめずのいちべえ
●18巻「馴れ馬の三蔵」

品川宿の顔役。香具師。小房の粂八に女を寝取られる。女は粂八と逃亡。





三州屋常蔵 さんしゅうやつねぞう
●21巻(春の淡雪)

香具師の元締め。江戸では大変な顔役。大島同心がこの常蔵の仕切る博打場で借金をこしらえる。 これは雪崩の清松が大島をはめるためにぐるになったという噂。





鎌屋富蔵 かまやとみぞう
●22巻長編(迷路)

浅草の香具師の元締。メインは人いれ屋で儲けている。筋の通った男で血なまぐさい事を嫌い、町奉行所にも協力を惜しまない。 火盗改めとは面識はない。同心・細川峰太郎が博打の借金をした香具師。





朝熊の宗次 あさくまのそうじ
●22巻長編「迷路」

香具師の元締・鎌屋富蔵の手下。細川同心に博打を教える。細川同心を気に入ったのか、良くしてくれていた。





荒井屋松五郎 あらいやまつごろう
●23巻「隠し子」/ 5-096「隠し子」/田口 計

本郷の顔役。相当に顔が利く大物。平蔵の腹ちがいの妹・お園を自分の慰みものにしようと、手荒な真似をする。













鬼平楽